神奈川県の中部に85年間姿をほとんど変えなかった駅がありました……。
戦前から佇む一軒の小さな白い駅舎。しかしこの度、ついにその歴史に幕を閉じることになりました。今回はこの思い出の駅舎とのお別れを偲んで、できる限り多くの写真を残したいと思い特集を組んでみます。(※この記事は2015年11月8日作成の過去記事を移転したものです。)
皆さんJR相模線をご存知でしょうか?
相模線は、橋本・茅ヶ崎間を結ぶ神奈川県のローカル鉄道のひとつ。田んぼのなかを単線の線路が延々と伸び、4両編成の車両は踏切が閉まってもあっという間に通り過ぎてしまいます。
まさにかつての昭和の鉄道風景を彷彿とさせるノスタルジックな路線ですが、そのなかでも私が特に気に入っていたのは「相武台下駅」でした。なお、似たような名前で小田急線の「相武台前駅」がありますが、そちらとはまったくの別物ですのでご注意ください(笑
電車を降りると、目の前に広がるのは田んぼと山とわずかなおうちだけ。そんな田舎の住宅街と田んぼの狭間にぽつねんと佇む白い駅舎が、相武台下駅です。木造の古い建物で、初めて建てられたのは1930年(昭和5年)、2015年現在85年の歴史があります。しかし、この度、この駅舎がついに建直されることになってしまいました。(JR東日本の発表では2015年12月中旬から工事開始予定)
時代の流れは仕方のない事ですが、ずっと親しんでいた駅が建て替わってしまうのは、なんだかさみしい物です。私が生まれるずっと前から、私の父母はもちろん、祖父母や曾祖父母も見ていた風景が、ついに記憶の中だけの存在になろうとしています。とても寂しいし悲しいですが、これも時の流れなのですかね。今回、そのお別れを偲んで少し写真を撮ってみましたのでいくつかご紹介したいと思います。
拙い写真でしたが、少しでもこの駅舎の記憶が残ってくれれば、幸いです。もし興味がある方は、是非とも一度実際に足をお運びください。何もない場所ですが、何もないのが良い場所です。
悪い言い方をすれば小さくてみすぼらしい駅だったかもしれませんが、小さいころから親しんだあの白くて田舎っぽい駅舎は、本当はいつまでも残っていてほしい思い出の建物でした。まちが新しくなることは、たぶん良い事なんだと思います。でも、思い出が少しずつ記憶のなかの存在になっていってしまうのが、とても寂しい。でも、せめて記憶だけでも大切にしたい、そう思うので、お別れは、あえて言わないことにします。
長い間ご苦労様でした。そしてありがとうございました。
以上、今日は少しさみしい気分のおににぎでした。また明日から、おいしい物を食べて頑張ります。