コシヒカリだけがお米じゃない!今回はお得で美味しいお米「キヌヒカリ」を紹介します。
コシヒカリ、ひとめぼれ、あきたこまち、あるいは最近のものだと晴天の霹靂など、現代日本には多くの種類のお米が存在している。そんな多様な米の系譜のひとつに「キヌヒカリ」がある。
「キヌヒカリ」は、炊き上がりが絹のように白く美しく、甘みと深みはある一方癖はなく、おかずの味を邪魔しないさっぱり上品な味のお米だ。
粒はやや小さめであるが、味わいは王道ブランド品種である「コシヒカリ」にも劣らず、むしろ日々の主食としてはキヌヒカリをより好む人もいる。その他、冷めてもべちゃつかないのでお弁当やおにぎり、あるいは素材の味を引き立たせる意味ではお鮨の「シャリ」にも向いている。
しかし、そんな味はもちろんコストパフォーマンスも含めてかなり優れたお米であるにも関わらず、関西圏では生産・消費量ともに多いと聞くが、関東の一般量販店ではあまり流通していない。
特に、神奈川県央の厚木や海老名、そして座間でもキヌヒカリは生産されているのだが、中間地の気候と地勢的な理由からか、味は一般に高級米として売られているお米と同等といっても良いのに。(ぜひ食べてみて欲しい)
しかし、現在のキヌヒカリの扱いは、正直あまりいいものではない。その原因はいくつかある。
1つは、とにかく「安く買いたたかれすぎている」ということだ。これは、一般販売の話ではなく農協に降ろす価格のことであって、またどの品種でも共通事項でもあるのだが、一定規模を確保しないと一表あたりの生産にかかるコストの方が高くついてしまう。
もう1つは、上の内容にも関連するが、キヌヒカリの生産量が少な目であるのと品種の知名度が低いことから、いわゆる「ブレンド米」にされてしまうという事実だ。
ブレンド米とは、色んな品種の米を混ぜ合わせて作る、まさにブレンドコーヒーみたいなお米の販売方法のこと。また、正確にはブレンド米ではないけれども、一般に販売されるお米の多くは、同じ品種内でも「品質の均一化」を行う。言ってみれば、全てが全てではないものの「出来の良い米の中に、どれだけ出来の悪い米を混ぜるか」が要になってくるのだ。
どんなに美味しいお米でも、ブレンドや均一化されてしまっては本来の味は楽しめないし、ほぼ間違いなく品質が落ちてしまう。これではお米農家も悲しいし、何より本意ではない。
そういう意味では、農家から直売で買うというのは品質的にも味的にも担保がある。最近は各種農家でもインターネットを利用した直販売を行っているので、利用してみてもいいのではないかと思う。その際はぜひ試しに「キヌヒカリ」を一度選んでみて欲しい。
なお、文末にて無粋極まりないのですが、私こんぶも実はちょっとだけキヌヒカリを作っています……。うちのお米もよかったら食べてください(宣伝)以上、今回のコラムは、お得で美味しいお米「キヌヒカリ」のご紹介でした!